◎緊急時の連絡行動と誘導。

警察機関等への連絡の重要性
 警備員は、業務の性質上、事件・事故等に遭遇する場合が多いので、警察機関等への通報連絡を行うに当たっては、平素から警察機関等への通報手段について研究し、習熟することが必要である。特に、第一報の適否は、その後の事件・事故への対応に重大な影響を及ぼすことに留意し、通報すべき事項等について、適切な通報が行えるようあらかじめ熟知しておくことが大切である。また、警察機関等への連絡を正確かつ迅速に実施するため、予め連絡メモを用意しておくことが望ましい。
警察機関等へ連絡すべき事故等の区分及び態様
警備員が交通誘導警備業務実施中に遭遇することが予想される主な事件・事故等で警察機関等へ連絡すべきものは、交通事故及び次表に挙げるものである。
種別 行 為 の 態 様
器物損壊 ア 街路灯に投石して破壊している。
イ 植込みなどの樹木を折損し、又は引き抜いている。
粗暴行為 ア 著しく粗野又は乱暴な言動で他人に迷惑を掛けている。
イ 酒に酔って、著しく粗野又は乱暴な言動で他人に迷惑を掛けている。
不法侵入 ア 立入禁止の場所に侵入している。
イ 正当な理由なく、人の住居又は人の看取する建造物等に侵入している。
業務妨害 ア 暴力を用いて、他人の業務を妨害している。
イ 他人の正当な業務を妨告している。
暴行傷害 ア 相手を殴る、蹴る等の暴行を加えている。
イ 上記暴行を加えたことによって、けがをさせている。
窃盗 資材置場などから他人の財物を盗んでいる。

各種電話による警察機関等への連絡要領
(1)警察機関への連絡要領
ア 連絡内容
 警備員は、警備業務実施中に、事件・事故が発生した場合には、警察機関への連絡その他、必要な措置を講じる必要がある。
 警察機関へ連絡すべき内容は、次のとおりである。
事件・事故の概要、発生した日時、場所
被害の状況(死傷者の数及び負傷の程度)
現場の所在地、目標
連絡者の氏名、連絡先
犯罪等の種類
その他必要な事項
 また、犯人が逃走したような場合には、
犯人の人相、着衣、特徴、持ち物、逃走方向
車両の色、型、ナンバー
 などについても連絡する必要がある。さらに、状況の推移に応じて、追加連絡を行うことが望ましい。
イ 連絡の状況
 警備員による警察機関等への連絡には、警備員自身が事件・事故の現場から直接連絡する場合と見聞者からの通報を受けて連絡する場合並びに第三者に依頼して連絡する場合がある。
(ア)警備員自身が事件・事故の現場から直接連絡する場合
 連絡は、現場から直接行うことが迅速かつ正確を期すため望ましい。
 しかし、現場近くに電話がない場合もあり、また、現場の状況によっては、犯人に知られて逃走されるおそれもある。
 このようなことを配慮して、連絡は条件の許す範囲で現場に近い場所から行うことが大事である。
(イ)見聞者からの通報を受けて連絡する場合
 事実を見聞した者が警備員に連絡してきた場合には、相手の立場に立って親切に接し、落ち着かせたうえ、見聞者本人が直接連絡できるように便宜を図るなど、機転をきかせることが大切である。
 この際、警備員は、見聞者の横でその連絡内容を聞き、場所や目標等について明確に答えられないようなときは、直ちに代わって答えるようにすることが肝要である。
(ウ)第三者に依頼して連絡する場合
 第三者に対し、連絡をするに当たって、最も注意する必要があるのは、事件・事故等の状態を把握している警備員自身による連絡と異なり、第三者による連絡は、現場の状況が正確に伝わりにくいおそれである。
 そのため、必要事項を警備員が明記するなどして、第三者に依頼することが大切である。
ウ その他の事案
 警備員は警備業務実施中に、警備担当区域内やその付近で、保護を要する者や死体などを発見する場合もある。
 「保護を要する者」とは、刑法や軽犯罪法において「老幼、身体障害者、疾病(傷病)のため扶助を要すべき者」と規定されており、実務上では迷子、迷い人、急病人、けが人等のほか、自殺志願者、精神障害者、泥酔者等が考えられる。
 また、軽犯罪法では、自己の占有する場所内(警備担当区域内)で死体若しくは死胎を発見した場合には、速やかに公務員に申し出る必要があると規定している。
 これらの保護を要すべき者や死体等を放置するようなことがあれば、刑法又は軽犯罪法によって処罰されることになるが、警備員としては、積極的に保護し、速やかに警察機関へ連絡するよう努める。
 保護を要すべき者に対しては、住所、氏名、連絡先その他警察機関等へ連絡するために必要な事項を聴取するとともに、必要があれば性別、年齢、体格及び服装等をメモするなど、適切に対応することが重要であるが、特に自殺志願者等に対しては、いたずらに相手の感情を刺激したりすることがないよう注意する。
 死体や死胎を発見したときは、礼を失することがないよう注意するとともに、周囲の好奇の視線にさらされるおそれがある場合には、毛布やシートなどで周囲の視線を遮るなどの配慮が必要な場合もある。
(2)消防機関への連絡要領
ア 火災
 警備業務実施中に火災が発生した場合に、消防機関に連絡すべき事項は、次のとおりである。
火災の発生の日時
発生場所の所在地、名称
建物等の用途(百貨店、テナントビル等)
燃焼階、燃焼物件、燃焼程度
逃げ遅れた者の有無
付近にある目標となる建物等
その他必要な事項
イ 連絡上の問題点
 火災が発生した場合は、できる限り早く、正しく消防機関に連絡することが最も大切であるが、実際には、次のような理由によって連絡が遅れることが多い。
契約先担当者や上司に連絡し、許可を得てからと考え、所在確認に手間取っての連絡の遅れ。
火災発生場所、程度等が不明のため、確認に手間取っての連絡の遅れ。
ウ 救急車の要請等
 救急車を要請するに当たっての必要な事項は、次のとおりである。
負傷の原因と発病の経過等
現場の所在地、目標
負傷者等の員数
現在の容態
その他質問された事項
(3)連絡実施上の留意事項
 緊急事態が発生した際の連絡の適否は、その後の事件・事故等の推移に与える影響が大きい。
 したがって、警備員は平素から起こり得る各種の事態を予想し、どのような事態が発生しても迅速かつ的確に、しかも落ち着いて、必要な内容の連絡が行えるようにしておくことが必要である。
 特に、次に挙げる事項について留意する。
緊急事態発生時の連絡は、「巧遅」より「拙速」を心掛け、時機を失しない。
緊急連絡は、1回で終ることなく、警察官等の現場到着までの間、必要事項があるときは、随時追加連絡を行う。
連絡内容は、六何の原則(5W1H)に基づき、簡潔、明瞭に行うことができるよう心掛ける。 六何の原則(5W1H)とは、@何時(When)A何処で(Where)B何人が (Who)C何を (What)D何故(Why)E如何にして (How)の六つであるが、緊急連絡の場合には、特に@〜Cが重要である。
(4)非常電話による連絡
ア 非常電話の仕組み
高速道路では、非常電話は1キロメートル間隔(トンネル内は200メートル間隔)に設置されている。事故発生時においては、非常電話を使用して、交通管制室へ通報することができる。
イ 非常電話の構造と使用方法
送受話器を取り上げると、自動的に交通管制室にっながるものと、簡単なボタン操作によってつながるものがある。
前者は、管制室につながったら、まず始めに「故障」か「事故」であるかを通報する。管制室には常時警察官が待機しており、警察官と交替してもらいたい旨を申し入れると、警察官と直接通話ができる。また、救急の場合は消防へ、故障の場合は日本自動車連盟(JAF)へ、それぞれ管制室から連絡される。後者は、「故障」、「事故」、「救急」、「火災」のボタンを押すことによって、交通管制室へ緊急事態の内容が通報される。
ウ 注意事項
現在地を知らせるには、電話ボックスの上部に書いてある番号を連絡する。
非常電話は、事故、故障等の緊急以外は使用できないので、むやみに使用しない。
救急蘇生法の意義と必要性
 警備業務は、人の生命、身体、財産等を守るという性格を有するため、警備員は、事件・事故等に伴う負傷者を取り扱う機会が一般の人たちに比べて多い。また、警備員はそのような事態に遭遇した場合、適切な措置をとることを、社会的にも期待されている。したがって、警備員は平素から救急蘇生法について正しい知識と技能の向上に努め、不測の事態に備える必要がある。
(1) 救急蘇生法の意義
 「救急蘇生法」とは、負傷者及び急病人に医師の手当てを受けさせるまでの間、その病状を悪化させないための一時的手当を行う方法をいう。したがって、警備員が手当てを行った場合には、その後で必ず、医師・救急隊等医療従事者に引き渡すか、医師の治療を受けるよう手当てを受けた負傷者や急病人を指導することが大切である。
(2)救急蘇生法の必要性
 カーラーの救命曲線によれば、心臓停止の負傷者を3分間放置、呼吸停止の負傷者を10分間放置すると死亡率が50パーセントになる。また、大出血は、そのままにしておくと、失血死又は出血性ショック死を招くことにもなるし、意識を失ったままだと喉がつまり、呼吸困難となり死に至ることもある。
 このようなことから、大出血又は呼吸停止等の場合には、救急車の到着を待つことなく、速やかに適切な手当てを行うことが極めて重要である。

救急蘇生法の概要
 負傷者に遭遇した場合に、負傷者の状態にとらわれ過ぎたため、現場の状況の確認を忘れたり 、救急車の要請が遅れたりすることがある。そのため、警備員は終始冷静な行動を保ち、次のようなことに注意する必要がある。
(1)応急処置の順序
 負傷者に応急処置を行う順序は、次のとおりである。
現場の状況及び負傷者の状態の把握
負傷に応じた適切な応急処置
警察や消防への連絡及び引継
(2)負傷者の状態の把握
 負傷者に応急処置を行うためには、その者の状態を把握することが大切である。そのための確認事項と手順は、次のとおりである。
負傷者の性別、年齢(推定)
負傷原因の聴取
出血、呼吸の状態
その他損傷の程度
反応、顔色、体温
 応急処置を行う場合、原則として水平に寝かせて、確認したり、手当てを行うのであるが、反応、呼吸、出血、顔色等の状態によってこれを変える必要がある。負傷者に意識がある場合は、本人が最も楽に感じる体位にしてやることが肝要であり、意識がない場合は回復体位をとる。
(3)回復体位
 反応がなくなった負傷者を仰向けにしておくと、嘔吐した場合に気道が閉塞されて窒息するおそれがあるので、嘔吐物が自然に流れ出るように、負傷者が横を向く姿勢をとらせる。このときの姿勢を「回復体位」という。
負傷者を横にして、自分の側の腕を自分の方に開く。
負傷者のもう一方の手を腹部に乗せ、肩と腰を持ち、そのまま静かに引き起こす。
負傷者の上になっている手をあごの下に入れ、頭を後ろに反らし、口を下に向けて気道を確保する。
負傷者の上になっている足を約90度に曲げ、体の安定を図る。
また、大出血、呼吸停止等は、直接生命にかかわるため、直ちに手当てをする必要がある。


(4)呼吸状態の確認
 負傷者の胸のあたりを見ながら口元に頬を近づけ、目で胸が上下に動いているかを確認し、呼吸がはっきりしないときは、鼻や口に手のひら、又は頬を近づけて確認し、吐き出す息が感じとれないときは、呼吸が停止しているものとみなす。


(5)反応の確認
 反応の有無は、負傷者の状熊を知るために重要である。一般に負傷者が危険であるかどうかの第一の要点は反応の程度であって、反応がない場合は、頭部に損傷を受けていることがあるから注意する。
 反応の程度を判断するには、次の方法がある。
耳元で負傷者の氏名を呼んだり話しかけながら、軽く肩を叩く。体を乱暴にゆすらない。
刺激に敏感な体の部位(わきの下、大腿部の内側、足の裏等)を鉛筆などで軽く線を引くように触れる。
額の上に冷たいタオルを置く。
 目を開けたり、目的を持った仕草があるなどの反応があれば、続いて、安心する言葉をかけるとよい。
(6)救助者としての心構え
 事故はいつ、どんなところで発生するか分からない。したがって、警備員は、平素からいかなる状況のときでも応急処置が行えるよう心掛ける。
屋外における応急処置は、一般に利用できる資材が乏しいことから、付近の機材を活用する。
交通が混雑している場所では、負傷者を二次災害から守るため、まず安全な場所へ移動する。
災害等の事故では、ただ積極的な行動だけではかえって危険であることを銘記して、現場の者の誘導や事故現場の状況把握に努め、十分な装備をした救急隊等の到着を待つ。
事故が起こるとやじ馬が集まり、救助活動に余計な口出しをする者がいる。警備員はこれらの言葉に惑わされることなく、確信を持って応急処置を行うことが大切である。
(7)AEDを用いた応急処置の必要性
 心肺蘇生法の方法として一般的によく行われるのは、人工呼吸や胸骨圧迫である。しかし、このような心肺蘇生以外に、心停止状態にある心臓に対して、AEDによって、除細動(電気ショック)を行うことで本来の心臓の役割であるポンプ機能を回復させることができる。
 このAEDの使用は、従来、医師、看護師、救急救命士などにしか許可されていなかったが、平成16年7月から一般市民にも使用が認められるようになった。
 「AED」とは、 Automated External Defibrillator(自動体外式除細動器)の略で、電源を入れると音声で操作が指示され、救助者がその指示に従って、除細動を行う装置である。
 また、AEDは自動的に心電図を解析し、電気ショックを与える必要があるかどうかを判断するので、医学的な知識が少ない一般市民でも音声ガイダンスに従って、簡単な操作で救命措置が行えるものである。
 欧米では、早くから駅や空港等をはじめ、人が大勢集まる公共の場所に多く設置されている。
 我が国でも、愛知万博に常備され、人命救助に活用されるなど効果を発揮した。
 最近では、駅や空港等をはじめ、人が大勢集まる場所に設置されることが多くなってきており、その普及に伴い、警備員が使用する機会も多いものと予想される。
応急手当の実施要領
(1) 止血法
ア 小出血の場合
 小出血の場合は、失血死することはないが感染の危険が大きいので、次の点に注意する。
出血させたまましばらくおき、傷口を水で洗い流してから手当てをする。
刺傷の場合は、傷口が小さくても奥深いことがあるから軽視しない。
指や消毒しないもので傷口に触れず、滅菌ガーゼを当てて包帯をずる。また、凝血は破らない。
イ 大出血の場合
 大出血が危険であることは既に述べたが、止血の方法として基本的には、「直接圧迫法」と 「間接圧迫法」がある。
(ア)直接圧迫法
 出血している傷口の上に直接布切れやハンカチ、ガーゼなどを当て、その上から手又は包帯、三角巾等で圧迫止血する方法である。あまり大きくない動脈や静脈その他の毛細血管からの出血は、この方法で止血できる。しかし、頸動脈や股動脈のような大きな血管の出血は、直接圧迫法だけでは止血できないことがある。
@ 傷口が大きく開いている場合
 傷の上にガーゼを当ててその上から手のひらで押さえ付ける。
A四肢が傷ついて動脈の出血がひどい場合
 傷ついた方の手や足を高くし、頭部を低くして、いわゆる自家輸血の体位をとらせると効果的である。
(イ)間接圧迫法
 止血は、直接圧迫法を原則とするが、直接圧迫法だけでは止血できないときは間接圧迫法を用いる。間接圧迫法は、出血部位と心臓との間の出血部位に近い止血に有効な動脈の一点(止血点)を指で圧迫して止血するものである。別名指圧止血法ともいい、その止血点を指圧止血点という。この止血法は、体のどの部位の出血にも使えるのではなく、頭部や四肢に限られるものである。
@ 浅側頭動脈の指圧法
 片手の手のひらの底を耳の中央 のすぐ前にある浅側頭動脈に当て、他の手で反対側の頭を支えて、手のひらの底に力を入れて頭蓋骨に対して圧迫する。

A下顎動脈の指圧法
 片手の手のひらの底を、下顎骨の角から約2.5センチメートル前にある下顎動脈に当て、ひじを胸骨の上に置き、血管を下顎骨に向かって強く圧迫する。

B頸動脈の指圧法
 頸動脈の場合は、流れ出る血液によって滑りやすくなるのを防止するため、清潔な布を頸動脈に当て、頸の中央深部にある脊椎に向かって強く圧迫する。この場合4本の指を全部そろえて血管を圧迫する。

C鎖骨下動脈の指庄法
 右(左)鎖骨下動腺を止血するときには、左(右)手の親指を鎖骨窩の胸骨寄りのところに当てる。この場合、親指の腹を負傷者のヘソの方へ向けてしっかり押すと同時に、右(左)手で負傷者の頭を手前に引いて曲げると簡単に止血できる。

D上腕動脈の指圧法
 右(左)上腕動脈を止血するときは、力こぶのところを右(左)手の親指の腹でしっかり押さえながら、心持ち下へ引くと簡単に止血できる。

E股動脈(大腿動脈)の指圧法
 止血を必要とする足の反対側に位置する。ひじを十分に伸ばして股(大腿)動脈の上に手のひらの付け根がよく当たるように手を置き、自分の体重をその股(大腿)動脈の上にかけると簡単に止血できる。

応急手当の実施要領
(2)主な傷の手当
ア 擦過傷
 転んだりして、ひざやひじなどをすりむいた傷のことであり、傷そのものは軽微なものであるが、土等が入っている場合が多く、感染に注意する必要がある。
(処置要領)
ガーゼを水道の水で濡らし石鹸を付け、傷口をいためないように水道の水をかけながらガーゼで土等を洗い流す。
次に、他のガーゼで水道の水をかけながら石鹸を洗い流す。
ガーゼで水をふき取り、当て物をして包帯する。

イ 切傷
 一般に傷口が広く浅い。特に、ガラスの切縁等の傷は出血が多い。
(処置要領)
 出血が多い場合は、傷の上にガーゼを当てて、その上から手のひらで押さえ付ける。 受傷部は心臓より高くなるようにする。

ウ 刺傷
 傷口は小さいが深く、内部の臓器や組織まで傷つけられていることが多い。 破傷風菌等の危険性がある。
(処置要領)
突き刺さった物がそのままになっている場合は、これを抜くとかえって出血がひどくなるので、そのままの状態にしておき、動かないように固定して、医師に引き渡す。
突き刺さった物が抜けている場合は、中から血を絞り出すようにして水で傷を洗い、その上から滅菌ガーゼを当てて包帯する。

応急手当の実施要領
(3)三角巾の使用方法
ア たたみ三角巾の折り方
 頂点を底辺の方に等分に折り曲げ、さらに繰り返して折る。 あるいは、1回折って上辺と底辺から4分の1ずつ折り曲げ、三角巾の中央で頂点の端と底辺の端を合わせてそれを重ね合わせるように折る。
右手に頂点、左手に底辺の中央を持ち、三角巾を半分に折る。
両端で、親指を外に、他の指を内に入れる。
そのまま、両手を拝みとるように合わせ、左手の親指で頂点を押さえ、右手を袋状になった三角巾の奥まで差し込む。
袋状の奥をつまみ、手前に引き出し折り返す(二つ折り三角巾)。
必要な幅になるまで、これを繰り返す。

イ 三角巾の結び方、解き方

ウ 頭の包帯
三角巾の底辺を図のように約3センチメートル外側に折り、親指が外側、人差し指以下が内側になるように三角巾の底辺を持つ。また、親指を内側、人差し指以下を外側にしてもよい。
折った方を外側にして、底辺を持った両手がおよそ眉の中間に位置するようにして、底辺を眉の生えぎわに、あてて、頂点から下ろした垂直線(図の点線)が鼻から頭の中央の線に重なるように頭に乗せる。
親指と人差し指で、三角巾を額に押し付けながら引っ張るようにして、両手の間隔を徐々に開き、両耳の後ろまで持ってくる。
両耳のわきで、三角巾を心持ち外側の方にして、頭にくっつけるように折り曲げ、人差し指で三角巾を頭に押し付けておいて、両方の親指を使って、三角巾を両方の人差し指の方へたぐり寄せ、ぴったり頭に当てるようにする。
たぐり寄せたら耳の付近で、三角巾を外側に折り曲げて、たぐりが戻らないようにして締める。
そのまま三角巾の底辺を、親指と人差し指で、頭の方へ押し付けながら、指をずらして下の方へ下ろし、後頭部のでっばりの下のところで、これを交差させて前に回す。この場合、交差した上を一方の手の指で押さえておいて、三角巾が緩まないように手を持ち変えてもよい。
前に回したらしっかり締め、額の中央でしっかり結ぶ。この場合、眉のやや上にかぶっている底辺の端、約1センチメートルのところで結ぶ。余った三角巾の端は中へ入れておく。
後ろへ垂れている三角巾の頂点の方を静かに、下の方に引き下げて、それを中央から二つに折り、さらにそれを二つに折って、それを上の方に上げてきて、交差している三角巾の端の方へ折り込んでしまう。

エ 顔面の包帯
三角巾の頂点より約10センチメートルのところを結ぶ。
頭の中央部に結び目がくるようにして、頭にかぶせ顔面を覆う。
両端を後頭部のところで交差する。交差した三角市の両端をそのまま前の方に回してあごの下で結ぶ。
頭上の結び目は、三角巾の中に入れ、結んで余った部分も同じように折り込む。
目や鼻の部分に穴を開けるには、三角巾をつまみ上げ、つまんだところをはさみで切って穴を開ける。

オ 前額又は耳の包帯
三角巾を額の大きさ又は傷の大きさに応じて適当な幅に折る。
たたみ三角巾の中央を患部に当て、図のように額を包み、鉢巻をして両端を前に回して結ぶ。この場合、傷の上で結ばない。
耳の場合は、耳を中心に額の方に斜 めにかけ、それから側頭の角に当て、鉢巻をして結ぶ。

カ 眼の包帯
 耳の包帯の要領と同じであるが、次の点に注意する。
眼球に傷がある場合は緩く巻く。
眼球に傷がなく、眼の周囲に出血がある場合は、止血できる程度に締めて巻く。
包帯はすべて傷の上では結ばないことが原則であり、眼の場合は特に注意する。
キ 頬、耳及びあごの包帯
適当な幅にたたみ三角巾を作る。
三角巾の中央を傷の上に当て、一端をあごの方へ、他の端を頭の上を通り反対側に垂らす。
あごの方の三角巾はあごの下を通り、耳のやや上で交差させて、一方の端を額の方へ、他の端を後頭部の方へ回して適当な箇所で結ぶ。
 頬やあごの場合は傷の上で結ぶようなことはないが、耳の場合は傷の上で結ぶことになるので、最初に三角巾を当てるとき、三角巾の中央を当てないで多少ずらして当てると適当な箇所で結ぶことができる。

ク 上腕、大腿、下腿の包帯
三角巾の頂点と底辺を合わせて二つ折り (場合によって三つ折り)たたみ三角巾を作る。
頂点が内側にくるようにして、その中央を片手でしっかり押さえ、外側の方を斜め上に引き上げながら腕に巻き上げる。
他の半分をその上からこれも斜め上に巻き上げ、図のように結ぶ。
大腿及び下腿の場合は、たたみ三角巾の二つ半折位の幅を広めにして使う。包帯のやり方は、上腕の場合と同じである。

ケ ひじ又はひざの包帯(T)
ひじを十分に覆うため、約20センチメートル幅(全巾を二つ折り)のたたみ三角巾を作る。
負傷者のひじを直角に曲げ、三角巾の中央部を当てる。
三角巾をひじの内側に巻き上げ、内側で交差させる。
交差させたら下になっている方を上腕の方に向け、上になっている方を前腕の方に向けて、それぞれ先に巻いた三角巾の端を押さえるようにして、上腕及び前腕を1回巻き、上腕の外側で両端を結ぶ。
ひざの場合も、ひざを曲げさせ、三角巾をひじの場合よりやや幅広にたたみ、ひじと同じ要領で巻く。

コ ひじ又はひざの包帯(U)
たたみ三角巾の中央をひじの下に当てる。
交差させて、下になっている方を上腕の方へ、上になっている方を前腕の方へ巻いていく。
両端をひじの中央で結ぶ。
ひざの場合も、ひじと同じ要領で行う。

サ 前腕の包帯
適当な幅の三角巾を作る。
負傷した手を前に出させ、負傷者の横に立つ。
三角巾の全長約3分の1のところの中心に約7〜8センチメートルの間隔で短い方を左手に、長い方を右手にして三角巾を水平に持つ。 右手を手前に引き、左手を前方に出して三角巾を斜めに向ける。
負傷者の腕に斜めにした三角巾の中央を傷の上に当てる。
負傷した箇所に当てた滅菌ガーゼが動かないように、左手でしっかり押さえ、右手の方の三角巾を1回相手の手首に巻き、それかららせん状に斜め上に2、3回巻き上げる。巻き上げるとき、その幅が狭過ぎないようにしっかり巻かないと重ね目が開いて緩むことがある。
適当な長さまで巻き上げたら、両端を引き締め、腕の外側で結ぶ。

シ 足の包帯
三角巾の底辺と直角になるように足を乗せる。
頂点を足の指、甲及びかかとにかけて覆う。
足の両側の三角巾をひだに折り込んで足の両側を包む。
三角巾の両側をかかとの部分でそれぞれ交差させ、足首に巻いて前で結ぶ。

応急手当の実施要領
(4)負傷者の搬送
 負傷者の倒れている場所や状態が安全でない場合は、必要最小限度の範囲(首や脊椎に負傷があると思われるときは、医師が来るまで動かさない。) で、動かしたり、姿勢を直したりする必要がある。
 負傷者を移動するときは、相手の体に無理を与えない、体をできるだけ水平に保つ、患部に触れないなど十分に注意する必要がある。また、搬送が終わるまでは、負傷者の観察を怠らないことが大切である。
ア 簡易担架による搬送
 先に述べたように屋外での応急処置では、付近の機材を活用することが必要である。負傷者を搬送する方法として、コーンバーと毛布を利用した場合の簡易担架の作り方は、次のとおりである。
コーンバー2本と毛布1枚を用意する。
広げた毛布の3分の1のところにコーンバーを置き、それを包むように毛布を折る。
繰り返した毛布の端にもう1本のコーンバーを置き、それを包み込むように残りの毛布を折り返す。

イ 肩を貸して歩かせる方法
 この方法は、足又は足首に軽い負傷をしている場合に適する。
右足を負傷している場合、相手の右手首を自分の右手で握り、相手の右腕を自分の首にかける。自分の左 手で相手の左腰のやや上を抱きかかえる。搬送者
自分の左足を和手の両足の中間に入れる。
左肩を相手の肩下に深く差し入れ、相手を少し吊り上げる。
相手の右足を左の方に抜いて、自分の左足の外側に出させ、負傷した足を使わせないようにして歩く。

ウ 引きずる方法
 体重の重い負傷者を火急の際、移動させるためには、直接引きずる方法と毛布等を利用して引っ張る方法とがある。
(ア)直接引きずる方法(T)
仰向けの相手の頭の方から接して、後ろから上半身を起こす。
わきの下から両手を差し入れて、相手の胸の中程で相手の両手首(又は片腕の前腕)をっかみ、やや引き上げ気味にして引きずる。

(イ)直接引きずる方法(U)
 狭い場所や火災等によって、煙が立ち込めている状況の中で倒れている人を運び出す場合に用いる。
相手の胸の上に三角巾、ひも、手拭、ネクタイ等を置き、相手の手首を組み合わせて固く結ぶ。
相手の手首を結んだ腕の輪の中に、顔を横にして入れた後、相手の上にまたがる。
両手を床にしっかり張って、相手の顔を持ち上げ、四つんばいになって引きずる。

(ウ)毛布を利用する方法
相手を毛布の対角線上に仰向げに寝かせる。
毛布の下端(相手の足の部分)を上に折り曲げ、左、右端を相手にかけて包み、上端(相手の頭の部分)を持って引きずる。

危険予知
 交通誘導警備業務に従事している警備員の業務災害が全国的に増え続けているが、その中で多いものを挙げると、車両誘導中の転倒や交通事故である。
 墜落や挟まれなどの事故も少なくないが、警備員は、受傷事故防止のため、あらかじめ危険を予知する訓練を行う必要がある。
(1) 車両の操舵特性
 内輪差、外輪差、車輪の操舵方式の特性を完全に把握するためには、豊富な経験が必要とされるが、警備員はその操舵特性に応じて、危険区域とされる部分で誘導を行うことは絶対に避けるようにし、そのような危険な場所に人がいる場合には車両に停止を求める等の措置を講じる。
 また、車両の停止距離についての知識も必要である。「停止距離」とは、運転者が危険に気づいてから車両が停止するまでの距離のことをいい、空走距離と制動距離を合わせた距離である。
 乾いたアスファルト舖装道路で普通乗用車が停止するために必要な距離は、次のとおりである。
 「空走距離」とは、運転者が危険に気づいてブレーキを踏むまで、ブレーキが効いていない間に走る距離のことで、約1秒間と設定している。
 「制動距離」とはブレーキが効き始めて、車両が停止するまでの距離のことである。

 上記の表を見ると、高速道路において運転者が100メートル手前で危険に気がついた場合、時速100キロメートルの速度が出ていれば、その障害物の手前で止まることはできないことがわかる。
 この停止距離を熟知することが危険の予知にもつながる。
 また、車両が左右に曲がる際には遠心力が働き、車両の安定力よりも遠心力が勝った場合にはその車両は横転する。その車両が荷台に荷物などを積載している場合は、車両の横転がなくとも、積荷が遠心力によって横方向に投げ出されることもある。警備員はこれらの危険を早期に発見し、適切に回避できるようにする必要がある。
(2)運転者の心理
 運転者の大半は、自分は事故を起こさないと考えている。そして、警備員の誘導に従った結果、交通事故を起こした場合には、自分が悪いのではなく誘導した者に責任があると考えがちである。
 警備員はそのようなことを発生させることのないよう、万全の誘導を行う必要がある。走行中、目の前に障害物が急に飛び出した場合、大半の運転者は無意識にハンドルを切ってその障害物を避けようとする。そのため、対向車と正面衝突をしたり、道路外に飛び出して事故になる。また、場合によっては工事現場内に突っ込んでくることも考えられる。
 このように、運転者がとるであろう行動を事前に予測することによって、多くの危険を回避することができる。
(3)子供の行動特性
 子供は自分の興味のあるものに対して意識が集中し、その他のことには全く注意を払わない という特性を持っている。
 道路の反対側に母親がいるのを見つけると、車両の通行状況に関係なく車道に飛び出したり、警備員が停止の合図をした場合でも、その腕の下を潜って前へ出ようとするのである。
 警備員はこのような子供の行動特性を考慮に入れ、歩行者に停止の合図を行ったきには、十分に注意することが重要となる。
(4)安易な信頼の排除
 一般通行車両が工事中の標識等を見たら、減速するか車線を変更するであろうと安易に相手を信頼することは、非常に危険な場合がある。赤信号を無視したり、遮断機が下りている踏切にその遮断機をはね飛ばしながら進入する運転者も存在するし、運転技術の未熟な運転者も多い。警備員が安全なタイミングを見計らって進行の合図を行ったにもかかわらず、実際に発進するタイミングが遅れ、危うく他車と接触しそうになったという例は数えきれないほどある。
 警備員は確実な根拠もなく、誘導の対象となる運転者の運転技術を過信しないようにする。停止を求めた車両に対しては、その車両が完全に停止をするまで注視を継続し、発進を求める場合には、その周辺の交通の状況が安全であることを確認してから合図を行うように徹底すべきである。
(5)退避場所の確保
 交通誘導警備業務を行う警備員は、原則として、安全が確保された場所(歩道上、保安柵の内側等)に位置すべきであるが、建築現場内や駐車場内等においてはそのような場所がない場合も多い。
 また、工事現場における保安柵の内側においても危険な場所は多くある。それぞれの現場では、それぞれの状況に応じて、警備員は常に周囲の状況を合理的に判断し、交通の妨害となるような位置や警備員自身に危険が生じるような位置を避けて、安全な場所で適正な誘導を行うよう努める。
保安柵の内側等
 保安柵等の内側であっても、工事区域の先頭(通行車両が接近してくる方向)は暴走車両の突入などが予想される極めて危険な場所でもある。
 このような場所に位置する警備員は、万一そのような暴走車両があった場合でも、とっさにその危険を回避することができる退避場所を確保する必要がある。警備員の左右に誘導用資機材(回転灯、標示板など)があり、動きがとれないような場所を誘導場所として選定しないようにする。
 また、工事区域の中央付近で、パワーショベル等旋回作業や前進後退を繰り返すような工事車両の周辺で誘導を行う場合にも、その回転半径内や作業区域内を避け、とっさの場合に退避できる場所が確保できる位置で誘導を行うようにする。
(6)その他の危険予知
 警備員が交通事故等に巻き込まれる原因は、警備員自身の不注意や経験不足のほかに、明らかに相手が悪いという場合や、だれにもその責任を求めることができないという場合もある。
 しかし、そのようなケースにおいても、警備員があらかじめその危険を予知(予測)することによって防げる場合が少なくない。自分が誘導する相手方だけでなく、その後続車や対向車、付近にある様々な物品(障害物)、子供や老人の動向、犬などの動物の飛び出し、その他あらゆるものに注意し、それが事故の原因となるかどうかを常に考慮に入れながら誘導に当たる必要がある。
 警備員は、多くの事故事例を研究し、その事故の原因について理解するとともに、様々な事故の原因となる現象を学びとることによって、受傷事故を防止することができる。
警戒棒の取扱い
(1) 使用上の留意点
 警備員は、犯罪等の事故の発生を警戒し防止する業務に従事するので、生命、身体の危険に遭過する事態において、自己又は第三者の生命、身体を守るため、警戒棒を使用することがある。
 警戒棒の使用は、攻撃又は抵抗を受けた場合に、被害を防止するために使用するものであることを念頭におき、相手に与える打撃を最小限度にとどめながら、しかも効果的に使用することが肝要であ る。
 警備員は警戒棒を使用するに当たっては、警備業務実施の基本原則(警備業法第!5条)の規定を踏まえ、特別に権限を与えられているものでないことに留意し、あくまでも護身に必要な範囲にとどめ、仮にも他人の権利及び自由に対する不正又は不当な侵害を及ぼさないようにすることが肝要である。
 なお、警備員は護身用具を携帯し、使用するに際しては、次の事項に留意する必要がある。
都道府県公安委員会規則によって、警戒棒の携帯が禁止され、又は制限されていない場合で、かつ、携帯することが必要な場合に限り携帯する。また、携帯する警戒棒は、都道府県公安委員会に届け出てあるものとする。
やむを得ず警戒棒を使用する場合は、正当防衛等の適用範囲内にとどめるよう配意する。
警戒棒を使用する場合は、首から下の部位を打つなど、相手に与える打撃は最小限度とするよう心掛ける。
警戒棒を相手に奪取されたり、逆用されることのないよう注意する。
(2)保管、管理
 警戒棒は、あくまでも護身に必要な範囲の使用にとどめることはいうまでもないが、使い方によっては凶器にもなり得るものである。
 そのため、使用する警備員は警戒棒の保管について十分注意し、紛失等することのないよう責任を持って管理する。
(3)操作の注意事項
 警備員は、自己又は第三者の生命、身体の危険時に備え、平素から警戒棒等の操作を反復訓練して、それを体得するよう努めることが大切である。
 また、警備員は警戒棒及び警戒じょう等の操作の訓練を行うに当たっては、次の事項に注意する。
常に、犯人等から攻撃を受けた場合の護身を念頭におき、真剣な態度で行う。
真剣な態度と反復訓練の中で、自己の体格や体力など個性を生かし、その長所を伸長させる。
形式的な訓練に陥ることなく、夜間訓練や制服着装での訓練等、実際に即するように常に創意工夫して行う。
 訓練による負傷者等の事故を防止するため、次の事項に十分注意する。
準備運動を十分行う。
訓練に先立ち、服装や用具を点検する。
多人数での訓練を行う場合は、その術技に必要な距離、間隔をとる。
警戒棒打ちは、型のみの訓練とし、実際に相手の身体には当てない。
(4)種類
 警備業務において、一般的に使用されている警戒棒は、長さ90センチメートル以下のもので、重さ460グラム以下の円棒(つば付きを含む。) で、木製及び金属製 (伸縮式) のものがある。 
警戒棒の基本的操作要領
(1)警戒棒の構え
ア 警戒棒の握り方
 木製警戒棒は革ひもを親指に掛け、手の甲の側から革ひもを垂らして警戒棒を下げる。
 革ひもの長さは、警戒棒の端が手のひらの小指側とすれすれになるように調節する。
 次に、手のひらを返して(金属製警戒棒の場合は、革ひもに手首を通して)親指と人差し指の付け根を広げ、警戒棒を当て、小指、薬指及び中指を締め、親指の先と人差し指の先が相対するようにして警戒棒を柔らかく握る。

イ 基本の姿勢
 警戒棒を身体の垂直線に45度になるように保持する。

ウ 休めの姿勢
 その場で左足を約20センチメートル幅に開き、体重を両足にかけると同時に、警戒棒を体の前面で水平に保ち、両腕は自然に垂れる。

エ 下段の構え
 左足を、続いて右足を半歩前に進め、警戒棒は基本の姿勢の要領で保持する。
ひざに少しゆとりを持たせる。
相手方(前方)を注視する。

オ 中段の構え
 右足を約半歩前に進め、右半身の姿勢となる。

カ 両手の構え
 左足を、続いて右足を半歩前に進め、警戒棒を体の前面で斜めに構え、先端を左肩の前で握る。

(2)警戒棒の基本操作
ア 下段打ち

イ 中段打ち

徒手による護身術の心構え
 警戒捧を所持していない場合若しくは警戒棒を携帯しているが取り出す余裕がないというような状況のときには、徒手で防護する必要がある。
 警備員は、徒手の場合であっても効果的な防衛行為ができるよう、平素から徒手で行う護身術を反復訓練し、その術技を習得しておくことが必要である。
(1)徒手で行う場合の留意事項
とっさに相手の態度、凶器の有無、人数等を識別する。
地形、物その他の状況を考え、臨機応変にこれらを自己に有利に役立たせるようにする。(例えば、地形の高低、夜間における照明の利用等)
犯人と向かい合ったとき、最も大切なことは間合である。相手の攻撃が届かぬ位置にいて、しかも相手の隙に乗じていつでも制圧できるような間合を心掛ける。
凶器を所持している相手に対しては、いたずらに組み付くことを避ける。
相手が複数の場合は、特に、沈着冷静に常に相手を自己の視野に入れておく。
(2)徒手の護身術(基本)
ア 構え
(ア)正面の構え
 正面の構えは、基本の姿勢から左足を、右足を約半歩前に進め、両足の間隔は約一足長とする。両腕は自然に垂らし、相手を注視する。
(イ)右(左)の構え
 右(左)の構えは、基本の姿勢から右(左)足を約半歩前に進め、左(右)かかとをやや内側にずらし、両腕は自然に垂らし、相手を注視する。

イ 防御技
(ア)体さばき
@ 前さばき
 前さばきは、正面の構えとなり、(相手が右手で胸部を突いてくるのを想定。)  左足を左斜め前に1歩踏み込むと同時に、右足をやや引き付けるようにして体を開き、左手刀で相手の前腕を打ち払い左の構えとなり、右手を腰に身構える。

A 後ろさばき
 後ろさばきは、正面の構えとなり、(相手が左手で胸部を突いてくるのを想定。) 左足を右斜め後ろに引くと同時に、右足をやや引き付けるようにして体を開くとともに、右手刀で相手の前腕を打ち払い右の構えとなり、左手を腰に身構える。

B体さばきの留意点
頭持ち、目付、息遣い、身ごなし、手さばき及び足さばきを一致させる。
絶えず相手を注視する。
手刀は相手の中心線から外さず、右手又は左手は腰に構える。
(イ)離脱技
@ 片手内回し
 片手内回しは、受、取ともに約1メートルの間合に進み寄り、正面の構えとなって向かい合い、受は、右(左)足を1歩進めると同時に右(左)手で、取の左(右)手首を順につかむ。取は、つかまれた左(右)手の五指を開いて指先に力を入れ、左(右)足を受の右(左)足外側に大きく踏み出し、つかまれた手を左(右)から孤を描くように内に返すと同時に、左(右)足を軸にして体を開きながら切り離す。


A 片手外回し
 片手外回しは、受、取ともに約1メートルの間合に進み寄り、正面の構えとなって向かい合い、受は、右(左)足を1歩進めると同時に右(左)手で、取の左(右)手首を順につかむ。取は、つかまれた左(右)手の五指を開いて指先に力を入れ、つかまれた手を右(左)から左(右)に孤を描くように外に返すと同時に、左(右)足を1歩踏み出しながら切り離す。


B ひじ寄せ
 ひじ寄せは、受、取ともに約1メートルの間合に進み寄り、正面の構えとなって向かい合い、受は、右(左)足を1歩進めると同時に右(左)手で、取の左(右)手首を順につかむ。取は、つかまれた左(右)手の五指を開いて指先に力を入れ、たなごころを地に向けて前腕を水平にしながら、左(右)足を受の右(左)足先の外側近くに進めると同時に、その足を軸にして体を開き、左(右)ひじで受の右(左)前腕の外側を押すようにして切り離す。
C 突き離し
 突き離しは、受、取ともに約1メートルの間合に進み寄り、正面の構えとなって向かい合い、受は、右(左)足を1歩進めると同時に右(左)手で、取の前襟をつかみにいく。取は、前襟をつかみにきた受の右(左)腕を、左(右)手で内から外に払うと同時に、右(左)たなごころを受のあごに当て、右(左)足を踏み出しながら、受の真後ろに突き離す。


D 体沈め
 後ろから抱きしめられたときは、上体を崩すことなく、右(左) ひざを曲げながら、同時に左(右)足を斜め左(右)後ろにつま先を立て引き伸ばし、両手はこぶしを作り、手の甲を上に向け、両腕に力を入れて、引く足の反対方向に強く目の高さに振り上げて離脱し、身構える。

消防用設備等の機能及び使用方法
 「消防用設備等」とは、消火設備、警報設備、避難設備、消防用水及び消火活動上必要な設備をいう。なお、消火設備から避難設備までをまとめて、消防の用に供する設備(消防用設備)という場合がある。
 「消火設備」とは、水その他の消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備をいい、「警報設備」とは、火災の発生を報知する機械器具又は設備をいう。
 また、「避難設備」とは、階段等の避難施設を使用することが不可能又は困難な状態の場合に避難のために設けられる設備又は器具である。
 「消防用水」は、消防のために使用する水を貯えておくものであるが、河水等の流水でも支障はない。これは、主として消防隊が使用するものである。
 「消火活動上必要な施設」とは、消防用水と同様、主として消防隊が効率的な消火活動を展開するための施設である。
(1)消火器
 消火器の種類は、粉末消火器、強化液消火器、化学泡消火器(酸アルカリ消火器)、機械泡消火器、二酸化炭素消火器、ハロゲン化物消火器及び水消火器の7種類である。
 なお、ハロゲン化物消火器については、ハロゲン化物が地球のオゾン層を破壊するフロンガスの一種であり、平成6年(1996年)以降その生産が廃止されることとなったため、現在では製造されていない。
 消火器は、消防用設備の中で最も普及している初期消火用の代表的な器具であり、至るところで目にすることができるため、逆にやや関心が薄れがちであるが、その取扱いについては十分に習熟しておく必要がある。
 これらの構造としては、本体容器の外側又は内側に加圧用ガス容器を取り付けた加圧式消火器と、消火器本体に消火剤とともに蓄圧した窒素ガスなどを封入した蓄圧式消火器などがある。
 また、それぞれの消火器には、適応火災が定められており、消火器本体に表示されている。白色の表示は木材や紙類等の普通火災(A火災)に、黄色の表示はガソリン、灯油等の油火災(B火災)に、青色の表示は変圧器、配電盤等の電気火災(C火災)にそれぞれ適応する。
 消化器本体にはその消化器の適応性表示、国家検定合格証、使用方法等の表示及び定期点検の点検票などがラベルとして貼付されている。
 
ア 消火器の機能と使用方法
イ 粉末消火器
粉末消火器の特徴は、リン酸アンモニウム及び重炭酸ナトリウム等を主成分とした粉末を使用して、窒息効果及び抑制効果により消火を行うものである。
粉末消火器の構造は、消化器本体に消火剤と共に蓄圧した窒素ガスなどで放射する蓄圧式と、本体容器の外側または内側に加圧用ガス容器を取り付けた加圧式消火器などがある。
粉末消火器の消火器の容量によって異なるが放射距離は約3から8m、放射時間は7から16秒である。
粉末消火器の使用は燃焼物を消火器のノズルで掃くようにし、燃焼物の手前の方から直接放射する。
粉末消火器を屋外で使用するときは、風による消火剤の飛散を防止するため、風上から放射する。
粉末消火器は水のような浸透力が無いので再燃防止に務める。
ウ 消火器の点検方法
 消火器の効用を適正に維持するためには、平素の点検と維持管理を適切にする必要がある。 消火器の機器点検には、外観上の項目、機能上の項目、作動上の項目があるが、警備員としては、一般的な粉末消火器の外観上の項目について理解することが重要である。
 点検は、目視による方法で行い、異常のないことを確認する。 外観に異常が発見された場合は、消防設備士又は消防設備点検資格者に機器点検を依頼する。

 封印→安全栓→本体容器→レバー→キャップ→ホース →ノズル・ノズル栓→表示
エ 点検方法と判定方法
点検項目 点検方法 判定方法
封 印 損傷脱落はないか 損傷または脱落が無いこと
安全性 変形、損傷がないか 安全栓が外れてないこと、操作に支障がある変形、損傷が無いこと
本体容器 変形、腐食はないか 消火剤の漏れ、著しい変形、損傷、著しい腐食が無いこと
レバー 変形、損傷等がないか 変形、損傷等がなく、確実にセットされていること
キャップ 変形、緩み等がないか手で締めてみる 強度上支障がある変形、損傷等が無いこと
容器に緊結されていること
ホース 変形、緩み等がないか手で締めてみる 変形、損傷、硬化、ひび割れ等がなく
内部につまりがなく、容器に緊結されていること
ノズル・ノズル栓 変形、緩み等がないか手で締めてみる 変形、損傷、劣化等がなく、内部につまりがなく
容器に緊結され、ノズル栓が外れていないこと
表 示 変形、損傷がなく、取り付け等の
措置が適正であるか 国家検定合格証が貼付されていること
所定のラベルが貼付されていること
事故の現場における交通誘導
 交通誘導警備員は、勤務場所やその付近において交通事故等が発生した場合には、事故の続発を防止するために、事故現場及びその周辺の交通の安全と円滑を図ることが重要となる。
 事故発生現場等における基本的な交通誘導要領は、次のとおりである。
ア 当該事故車両を他の交通の妨げにならないような安全な場所(路肩、空地等)に誘導する。ただし、死亡、重傷等の重大事故の場合は、負傷者等の救護を優先するものとする。
 この場合、後刻、事故当時の状態を復元できるように、車両の位置等を正確に記録しておく。
イ 事故車両の運転者等に協力し、当該車両に積載してある停止表示器材等を事故現場の後方(道路をふさいでいる場合は、両側)で、かつ、事故現場が遠くからでも視認できるような離れた場所に設置する。
ウ 道路の状況によっては、一時的に一方通行や交互通行又は迂回することを要請する。
エ 手旗、誘導灯、拡声器等を積極的に活用し、事故が発生したことを他の通行車両等に知らせる。
オ 具体的な交通誘導要領の例を挙げると、次のようになる。
(ア)警備員が2名の場合・・・1名の警備員は事故発生現場での二次災害防止及び現場保存、負傷者がいる場合には応急の手当てを行い、他の1名は警察機関等への通報及び通行する車両等に対する誘導、広報を行う。
(イ)警備員が1名の場合・・・負傷者がいる場合は、負傷者の救護を優先して行い、付近にいる人に警察機関等への連絡を依頼する。
避難誘導
 警備業務は、他人の需要に応じて、人の生命、身体、財産等に対する侵害を防止するという特殊性があるので、警備員は火災その他の災害の発生現場に遭過することが多い。また、危険物を積載した車両火災その他の災害が発生した場合、警備員をはじめ、工事関係者の避難誘導処置の適否が被害の程度に大きく影響することは、過去の事例からも明らかである。
 そのため、交通誘導警備業務に従事する警備員は、このような緊急事態に備えて、平素から施設内及び付近の人々に対する避難誘導についての知識と技能の向上に努めることが大切である。
(1)避難誘導の意義
 警備員は、交通誘導警備業務中において、当該警備業務実施場所及びその付近で火災その他の事故等が発生した場合は、必要な通報及び連絡を行い、消火活動や避難誘導等の措置を講じる必要がある。
 また、警備員が火災その他の事故等の発生現場において、避難誘導を行う場合においては、警察官職務執行法や消防法の規定によって、警察官や消防吏員の指示に従う。
(2)避難誘導の基本的事項
ア 避難誘導に当たる交通誘導警備員の任務は責任者の指示に従い、次の事項を行う。
(ア)避難経路の決定
(イ)避難誘導の指示伝達
(ウ)逃げ遅れた者の確認
 避難誘導に当たる警備員は、平素から警備業務実施場所周辺の地理や交通状況等について熟知しておくよう努める。
イ 避難誘導の留意事項
(ア)歩道や空地等の安全な避難経路を指示する。
(イ)校庭等の多数の者が避難可能な場所を指示する。
(ウ)多人数の避難の場合は、努めて人員を分離して混乱の防止を図り、危険な場所にいる者が早く避難できるようにする。
(エ)拡声器等を十分に活用し、避難者に事故状況を知らせるとともに、パニックの防止に努める。
(3)避難誘導の実施
 避難誘導活動は、その災害の種別、規模、周辺の道路状況等によって多種多様であるが、一般的実施要領は、次のとおりである。
危険物を積載した車両火災や工事現場等に隣接した建物等の火災の場合は、拡声器等によって出火場所や延焼状況を知らせる。
警備員は、事故現場が見渡せる歩道等の避難経路上に配置につく。
付近住民や工事関係者等に対して避難開始の旨を伝える。
拡声器を活用し、避難場所及び方法を指示する。
逃げ遅れた者の有無の確認及び避難者の人員点呼を行う。
警察官及び消防吏員に必要な事項を報告する。
現場保存の意義及び実施上の留意点
(1)現場保存の意義
 警備員は、その業務の特殊性から、犯罪や事故の現場を発見したり、また、第三者から犯罪についての連絡を受けたりすることがある。この場合、警備員は速やかに110番通報するとともに、その現場をあるがままの状態で保存して、臨場した警察官に引き継ぐことが求められる。
 現場には、犯罪の捜査や事故の原因調査に必要な証拠や資料が多く残されており、その保存の適否が、その後の犯人の検挙等に直接影響するものであるから、警備員は、まずこれらのことを深く認識して、適正な現場保存に努める必要がある。
 「警備員の行う現場保存」とは、犯罪や事故の現場をそのままの状態で保存して、証拠や遺留品の散逸とそれらの変質や滅失を防止し、警察官の採証活動に協力する活動である。
 現場においては、時間の経過によって資料が破壊されたり、滅失したりする。
 また、現場の関係者(被害者、第一発見者、その他の現場立入者)によって、不用意に現場が変更又は破壊されるおそれもあるので、十分留意して現場保存に当たる必要がある。
 また、現場保存に当たっては、二次的な事故の発生に注意することが大切である。
 また、現場保存はあくまでも二次的なもので、現場における危険を防止する等必要な措置を講じることが優先する。
(2)現場保存の要領と留意事項
ア 現場保存の範囲
 現場保存の範囲は、犯罪又は事故の発生した地点だけではなく、犯罪又は事故の態様に応じて、関係者の行動範囲と考えられる場所のすべてが対象となる。したがって、警備員は、現場保存に当たる場合には、犯罪又は事故の発生した地点や場所を中心として、その周辺のできるだけ広い範囲について、保存に必要な措置を講じる必要がある。
 現場保存の範囲は、犯罪又は事故の態様によって異なるが、施設警備業務において犯罪が発生した場合は、一般的に次のような場所が保存範囲と考えられる。
犯罪が行われた部屋
現場に通じる屋内の経路
侵入、逃走の経路
イ 保存範囲の確保
現場を中心に、できる限り広い範囲を保存範囲として確保する。
保存すべき範囲を明確にするため、ロープなどによって立入制限線を設定する。
施設内の通路などで通行止めにできないような場所については、できる限りその通行を制限する。
現場保存の範囲から、すべての人を速やかに立ち退かせる。
所有者等、管理権を持つ者であっても、警察官臨場前の保存範囲立入りは、控えてもらう。
立入制限の前後に、現場で行動した者の氏名や時間、その他行動範囲等をできるだけ明らかにして、記録しておく。
ウ 現場の状況、証拠品等に対する留意点
現場のすべての物に手を触れない。
現場の物の位置を変更しない。
現場を動き回らない。
現場に煙草の吸殻や紙くずなどを捨てたり、たんやつばを吐いたりしない。
屋外に足跡、血こん、タイヤこん等があり、雨で流失のおそれがあるときなどは、バケツなどで覆って、こん跡を変形させない。
エ 発見者、目撃者の確保
発見者や目撃者は、重要な参考人である場合が多いので、極力立ち去らないように要請する。もし、所用のため、とどまることができないときは、後日の協力を依頼し、連絡用の電話番号を聞いておく。
現場付近の人たちの会話や動静に注意し、情報提供者として協力を得られると思われる者の氏名、住所を記録しておく。
オ 加害者等の確保
 事故の当事者である加害者及び被害者に対しては、軽いけが程度であれば、警察官臨場まで現場にとどめる。
カ 重傷者の措置
 救急車の手配をするとともに、重傷者がある場合には、警備員は応急手当を行いながら、次の事柄に十分配意する。
負傷者に意識がある場合には、加害者名、負傷の理由及び状況を聞き出す。
負傷者の倒れている位置、方向及びその状態を記録する。
負傷者の衣服、着衣の乱れ具合、出血、血こんの状態を記録する。
付近に凶器がある場合には、その位置と状態を記録する。
キ 現場における慎重な言動
 現場においては、やじ馬が集まり騒然とした雰囲気になることがあるが、警備員は冷静な行動を保ち、周囲に巻き込まれないようにする。
 また、警備員は自らが知り得た犯罪にかかわる事項については、捜査機関以外の第三者に漏らさないようにする。
ク メモの励行
 犯罪や事故の発生現場に居合わせた警備員によって提供される情報は、犯人の追及や事故原因の究明にとって、大きな役割を果たすものである。 しかし、緊急事態に直面した際の人間の記憶は、あいまいなものとなりがちで、このことは、熟練した警備員とて例外ではない。
 したがって、警備員は常に筆記用具を携行し、現場で知り得た情報をできる限りメモし、警察官等への連絡に役立てることが必要である。
(3)警察官への引継ぎ
 警察官の到着によって現場は警察機関の手に移される。警備員は、警察官の現場観察等に協力するため、次の内容を臨場した警察官に報告する。
警備業務対象施設の名称、業種、所在地、責任者名及び電話番号
警備員の氏名及び警備会社名 ウ 発見の時間及び内容
連絡、通報の時間及びその内容
第三者の連絡によって事件を知った場合は、その発見者の氏名、住所及び連絡先等
現場保存の措置を行っている範囲とその方法
現場保存を行った時間
現場保存のため、行った措置と行動の範囲
現場保存の実施前に現場に居合わせた者の氏名、住所、連絡先等
現場保存の実施後に現場に出入りした者の氏名、住所、連絡先等
現場内において、やむを得ぬ事情により物の移動が行われた場合は、その理由と移動前の位置及び状況
関係者の氏名、住所及び連絡先等
事件に関連すると思われる情報及びその提供者の氏名、住所、連絡先等