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道路交通法
 交通誘導警備業務は、道路工事現場や駐車場等において、負傷等の事故の発生を防止し、かつ、道路工事等が一般交通に及ぼす迷惑を軽減し、交通の安全と円滑に資するため、一般車両や歩行者の通行を誘導する業務である。
 交通誘導警備業務に従事する警備員は、業務を適正に実施するうえで必要な道路交通法をはじめとする道路交通関係法令を冒頃から研究し、常にこれを遵守して業務を実施する必要がある。

(1)目的
第1条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。 第24条 火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署又は市町村長の指定した場所に通報しなければならない。
2 すべての人は、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。
 「道路における危険を防止し」とは、道路における具体的かつ直接的な交通の危険を防止することをいう。
 「交通の円滑を図る」とは、交通の妨害を排除し、混雑を緩和するなどによって交通が停滞しないようにすることをいう。
 「その他交通の安全を図る」とは、およそ道路交通に関する抽象的な危険を防止することをいい、運転免許制度等もこれに含まれる。
 「道路の交通に起因する障害の防止に資すること」とは、交通公害等、道路の交通によって道路交通以外の分野に障害を生じさせる事案に対し、道路の交通を管理する立場からその防止を図ることをいう。

(2)用語の定義
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1.道路 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路、道路運送法(昭和26年法律第183号)第2条第8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
2.歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。
3.車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくはさくその他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。
3の2.本線車道 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和32年法律第79号)第4条第1項に規定する道路をいう。以下同じ。)又は自動車専用道路(道路法第48条の4に規定する自動車専用道路をいう。以下同じ。)の本線車線により構成する車道をいう。
3の3.自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。
3の4.路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。
4.横断歩道 道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)により歩行者の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。
4の2.自転車横断帯 道路標識等により自転車の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。
5.交差点 十字路、丁字路その他2以上の道路が交わる場合における当該2以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。
6.安全地帯 路面電車に乗降する者若しくは横断している歩行者の安全を図るため道路に設けられた島状の施設又は道路標識及び道路標示により安全地帯であることが示されている道路の部分をいう。

7.車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。
8.車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
9.自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
10.原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。
11.軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
11の2.自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する2輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
11の3.身体障害者用の車いす 身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車いす(原動機を用いるものにあつては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)をいう。
12.トロリーバス 架線から供給される電力により、かつ、レールによらないで運転する車をいう。
13.路面電車 レールにより運転する車をいう。
14.信号機 電気により繰作され、かつ、道路の交通に関し、灯火により交通整理等のための信号を表示する装置をいう。
15.道路標識 道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示板をいう。
16.道路標示 道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示で、路面に描かれた道路鋲、ペイント、石等による線、記号又は文字をいう。
17.運転 道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いることをいう。
18.駐車 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。
19.停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。
20.徐行 車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。
21.追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
22.進行妨害 車両等が、進行を継続し、又は始めた場合においては危険を防止するため他の車両等がその速度又は方向を急に変更しなければならないこととなるおそれがあるときに、その進行を継続し、又は始めることをいう。
23.交通公害 道路の交通に起因して生ずる大気の汚染、騒音及び振動のうち内閣府令・環境省令で定めるものによつて、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
【令】第1条
【則】第1条の2
【則】第1条の3
【則】第1条の4
《改正》平11法087
《改正》平11法160
《改正》平19法090
2 道路法第45条第1項の規定により設置された区画線は、この法律の規定の適用については、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより、道路標示とみなす。
《改正》平11法160
3 この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。
1.身体障害者用の車いす、歩行補助車等又は小児用の車を通行させている者
2.次条の大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車、二輪の原動機付自転車又は二輪若しくは三輪の自転車(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く。)を押して歩いている者
「道路法第2条第1項に規定する道路」とは、一般の交通の用に供する道で高速自動車国道、一般国道、都道府県道及び市町村道をいう。
「道路運送法第2条第8項に規定する自動車道」とは、専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で、道路法による道路以外のものをいう。
「一般交通の用に供するその他の場所」とは、道路法に規定する道路及び道路運送法に規定する自動車道以外で一般の歩行者、車両又は路面電車等が自由に通行できる場所をいう。具体的には、「道」の体裁をなしている、いわゆる私道のほか、「道」の体裁をなしてはいないが、広場、公園内の通路、学校の構内の通路、神社仏閣の境内等で、それが一般交通の用に開放され、しかも客観的に一般交通の用に使用されている状態にある場所のことである。
「本線車道」とは、高速自動車国道の高速通行の部分及び自動車専用道路の本線車線によって構成する車道をいい、ランプウエイ、加速車線、減速車線及び登坂車線はこれに含まれない。
「歩道」とは、歩行者の通行を保護するため、車道との間に段差を設けて車道よりも一段高くし、又は柵その他柵に類する工作物(ガードレール等)によって区画し、物理的にも車両が入りにくいようにしている道路の部分をいう (単にペイント等によって区分されたものは、この法律にいう歩道にはならない。)。
「路側帯」とは、右図のように区画された道路の部分であり、歩行者は路側帯を、車両は車道をそれぞれ通行しなければならない。
道路が交わる部分の隅が切れていたり、湾曲してその部分だけ道路が広くなっていたりする場合には、その部分も「交差点」に含まれる。
「車両通行帯」とは、一定以上の幅員を有する道路において、車両が一定の区分に従って道路の一定の部分を通行することとされている場合におけるそれぞれの車両が通行すべき道路上の帯状の部分のことをいい、一般には、「レーン」又は「車線」といわれている。
「駐車」とは、一定の理由による継続的な停止及び運転者がその車両を離れ直ちに運転できない状態にある停止のことであり、「停車」とは、駐車以外の車両等の停止ということである。この区別については、特に駐車となる「客待ちのための停止」と、停車となる「人の乗降のための停止」の区別が問題となる。例えば、タクシーが不特定の乗客の乗車のために停止しているのは、典型的な客待ちのための停止である。ハイヤーが電話による呼出しに応じて旅館等の玄関に到着し、そこで待っていた乗客を直ちに乗車させた場合は、人の乗降のための停止である。しかし、そこで若干の時間待ちをした後、乗客を乗車させた場合は、「客待ちのための停止」ということになる。
「徐行」とは、「直ちに停止することができるような速度で進行すること」をいう。車両等の構造、積載重量、道路の状況、天侯の状況等の諸事情を考慮して個々具体的に決められるべきものであるが、一般に「直ちに」停止するといえるためには、少なくともブレーキを操作してから1メートル以内に停止することが必要であるとされている。この停止距離から換算すると、一般に制動装置の十分整備された普通自動車を乾燥した路面で運転する場合、時速8キロメートルないし10キロメートル程度以下で進行することが徐行といえる。
「進行妨害」とは、車両等が進行を継続し、又は始めた場合において、後続する他の車両が追突等の危険を防止するためにその速度又は方向を急に変更しなければならないことになるおそれがあるにもかかわらず、進行を継続し、又は始めることをいう。例えば、高速で走行している車両の前に、突然、車線変更によって割り込むこと等の行為は、進行妨害に該当することが多いといえる。

(3)歩行者の通行方法
ア 通行区分
第10条 歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄って通行することができる。
2 歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
一 車道を横断するとき。
二 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。
第1項は、歩道等と車道の区別のない道路における歩行者の道路の右側端通行の原則、いわゆる「対面交通」について規定したものである。
なお、この「対面交通」の場合における通行方法は、歩道等と車道の区別のない幅員の狭い道路において適用されるものであり、歩道等と車道の区別のある道路においては、左右いずれの側の歩道等を通行してもよい。
「道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないとき」は、左側通行をしてもよい。例えば、道路の右側端が損壊している場合や左側通行の訓練を受けている盲導犬によって視力障害者が通行する場合等は、「やむを得ないとき」に該当する。
第2項の歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、車道を横断するときなどを除いて、歩道等を通行しなければならないことを規定したものである。
「横断する」とは、必ずしも反対側の側端に到着することを必要とせず、歩道から車道に設けられた安全地帯に渡ることも車道を横断することに当たる。また、「その他やむを得ないとき」とは、例えば、風で吹き飛ばされて車道に転落した帽子を拾うために一時車道に立ち入る場合等のことである。

イ 横断の方法
第12条 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によって道路を横断しなければならない。
2 歩行者は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない。
第1項は、歩行者が道路を横断する場合の場所にっいて規定したものである。「横断歩道がある場所の附近」とは、道路の状況及び交通量等から判断されることとなるが、おおむね横断歩道から20メートルないし50メートル程度の距離にある場所のことをいうと解するのが妥当である。
第2項は、歩行者が道路を横断する場合における方法について規定したものであり、「斜めに道路を横断する」とは、道路をその道路に対し直角又は直角に近い角度以外の角度をもって横断することである。
「交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合」とは、歩行者の安全を確保するために、交差点の車両用の信号をすべて「赤」にして車両を一時止め、その間は、交差点の申を歩行者が自由に渡れるようにする交通規制システム、いわゆる 「スクランブル・システム」のことである。

ウ 横断の禁止の場所
第13条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によって道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
2 歩行者は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。
第1項は、車両等の直前又は直後における横断を禁止した規定である。「車両等の直前又は直後」の「車両等」には、進行中のものはもちろん、停止中のものも含まれる。「直前又は直後」の範囲は、危険を生じるおそれがあると客観的に認められる範囲をいい、その車両等の進行速度等によって異なる。
「横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するとき」を除外しているのは、関係法令の規定によって歩行者が保護され、危険を生じるおそれがないと認められることによるものである。
第2項の「道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分において」とは、歩行者の道路の横断を禁止することを規定したものである。 この禁止場所は、歩行者の通行の安全を図るためのものである。

エ 歩行者用道路等の特例
参照条文
(道路交通法)
(歩行者用道路等の特例)
第13条の2 歩行者用道路又はその構造上車両等が入ることができないこととなつている道路を通行する歩行者については、第10条から前条までの規定は、適用しない。
「歩行者用道路」とは、歩行者の安全と円滑を図るため車両の通行が禁止されていることが道路標識等によって表示されている道路をいい、いわゆる「歩行者天国」や「通学道路」等も車両の通行が禁止されている間はこれに該当する。
「その構造上車両等が入ることができないこととなつている道路」とは、地下道や歩道橋等をいう。

オ 目が見えない者、幼児、高齢者等の保護
(歩行者用道路等の特例)
第14条 1〜3 (省略)
4 児童又は幼児が小学校又は幼稚園に通うため道路を通行している場合において、誘導、合図その他適当な措置をとることが必要と認められる場所については、警察官等その他その場所に居合わせた者は、これらの措置をとることにより、児童又は幼児が安全に道路を通行することができるようにつとめなければならない。
5 高齢の歩行者、身体の障害のある歩行者その他の歩行者でその通行に支障のあるものが道路を横断し、又は横断しようとしている場合において、当該歩行者から申出があつたときその他必要があると認められるときは、警察官等その他その場所に居合わせた者は、誘導、合図その他適当な措置をとることにより、当該歩行者が安全に道路を横断することができるように努めなければならない。
ある場所が「誘導、合図その他適当な措置をとることが必要と認められる場所」であるかどうかは、道路及び交通の状況から具体的に決められるが、工事現場近くの交通の頻繁な場所などはこれに当たると解される。
「その場所に居合わせた者」とは、幼児等が通行している場所に現実に居合わせた者のことで、身分や職業を問わない。

(4)車両等の通行方法 T
ア 通行区分
第17条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第47条第3項若しくは第48条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。
3 二輪又は三輪の自転車(側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く。)以外の車両は、自転車道を通行してはならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ないときは、自転車道を横断することができる。
4 車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第9節の2までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。《改正》平16法090
5 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第1号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
 1.当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。
 2.当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
 3.当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。
 4.当該道路の左側部分の幅員が6メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。
 5.勾配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。
6 車両は、安全地帯又は道路標識等により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されているその他の道路の部分に入つてはならない。
(罰則 第1項から第4項まで及び第6項については第119条第1項第2号の2)
第1項は、歩道等と車道の区別のある道路においては、車両は車道を通行しなければならないこと、及びその特例として歩道等を通行することができる場合等について規定したものである。
車両が歩道等を通行できる場合の規定は、歩行者の保護の徹底を図る目的から、要件が厳しくされている。
「道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき」とは、道路外に設けられた駐車場、ガソリンスタンド、倉庫、病院、住宅等に出入りする場合に、歩道等を横断する以外にこれらの施設や場所に出入りする方法や手段がないときのことである。
第2項の「歩道等に入る直前で一時停止」とは、道路から路外の施設又は場所に入ろうとする場合は歩道等と車道の境界線の直前の車道上で、路外の施設又は場所から車道に出ようとする場合は歩道等と路外の施設等の境界線の直前の施設内で、それぞれ一時停止しなければならないということである。
「歩行者の通行を妨げないように」とは、歩行者の正常な通行を妨げないようにという意味であり、車両の横断進路にある歩行者が車両の横断のため一時立ち止まらなければならないような場合や、あるいは後戻りを余儀なくさせるようなことをいう。このような場合、車両はその進路上の歩行者がそのまま通過することができるように一時停止するか、歩道等に入る直前で一時停止し発進したとしても、その後において歩行者の通行を妨害することになるときは、再び一時停止するか又は徐行する必要がある。

第5項は、道路の左側通行の原則についての特例を規定したものである。
第1号は、一方通行の道路では、反対の方向から通行してくる車両が全くないので、他に定める通行区分を侵さない限り、道路のいずれの部分でも通行することができることとしたものである。
第2号は、その道路の左側部分の幅員が本来通行する車両の幅よりも狭いような場合をいうが、第3号の場合のように結果的にそうなった場合と異なる。
第3号は、道路の損壊その他の理由により道路の一部の幅員が狭くなって結果的に第2号のような状態にある場合である。
第5号は、公安委員会が道路の区画と通行の方法を指定した場所においては、その指定に従って通行する特例を認めるものである。
第6項は、車両は、安全地帯又は道路標識等によって車両の通行の用に供しない部分であることを表示された部分に入ってはならないことを規定したものである。「入ってはならない」とは、安全地帯等を通過し、又は乗り入れてはならないということである。
「道路標識等により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されているその他の道路の部分」は、「立入り禁止部分」の道路標示で表示される。安全地帯及び立入り禁止部分は、たとえ現に交通の危険がない場合であっても、通過したりそこに乗り入れたりしてはならない。

イ 道路外に出る場合の方法
第217条 車両は、道路外に出るため左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、徐行しなければならない。
2 車両(軽車両及びトロリーバスを除く。)は、道路外に出るため右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端)に寄り、かつ、徐行しなければならない。
3 道路外に出るため左折又は右折をしようとする車両が、前2項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない。
「あらかじめその前から」というのは、その車両が左折又は右折しようとしていることを他の車両又は歩行者に十分に認識させるため、合理的に判断して必要と考えられる時点からということである。
徐行義務は、道路の側端に寄る場合についてのみ課せられたものではないから、車両は左折又は右折を完了して道路外へ出るまで徐行を継続しなければならない。

ウ 横断等の禁止
第25条の2 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。
2 車両は、道路標識等により横断、転回又は後退が禁止されている道路の部分においては、当該禁止された行為をしてはならない。
本条は、車両が道路外へ出るため左折若しくは右折、横断、転回又は後退をする場合で、車両の運転者が客観的に判断して「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがある」ときは、これらの行為をしてはならないことを定めたものである。
第2項は、都道府県公安委員会が道路標識等によって、個別的に場所を指定して道路外へ出るための横断、転回又は後退を禁止した場合にっいて規定したものである。
したがって、道路上の車両を道路外の駐車場や工事現場等に誘導する場合、歩行者や他の車両に危険を生 じさせないようにすること は勿論、その正常な交通を 妨害するような誘導を行ってはならない。
また、道路上において車両を誘導する場合には、さらに当該道路付近の交通規制状況を十分に把握し、これらの禁止事項に反した誘導を行うことがないように十分に注意しなければならない。
    
エ 進路の変更の禁止
第26条の2 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
 1.第40条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
 2.第40条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。
「みだりに」とは、「正当な理由がないのに」という意味である。
「第40条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき」とは、緊急自動車が接近してきたため、道路の左側又は右側に寄る場合である。

オ 指定通行区分
第35条 車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第5項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第1項、第2項及び第4項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第40条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。
2 (以下省略)
本条第1項は、車両通行帯の設けられた道路で、道路標識等によって交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されている場合における軽車両等以外の車両の通行方法を示すとともに、道路の工事その他の障害のためやむを得ないときについて、例外規定を設けたものである。
「交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されて」とは、直進車、左折車及び右折車という点に着目して通行の区分が指定されるということである。
「第40条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないとき」とは、道路の工事や損壊のため、1番目の車両通行帯を指定されている左 折車両が2番目のそれを通行する場合や、緊急自動車が接近してきたため、3番目の車両通行帯を指定されている右折車両が道路交通法第40条の規定に従って、1番目のそれを通行する場合等である。
        
力 交差点における他の車両等との関係等
第36条 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。
 1.車両である場合 その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車
 2.路面電車である場合 交差道路を左方から進行してくる路面電車
2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
3 車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。
4 車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
本条は、交通整理の行われていない交差点における他の車両等との関係及びすべての交差点における車両等の一般的義務を定めたものである。
第1項から第3項までの規定は、「交通整理の行われていない交差点」における車両等の通行方法のうち、主として、他の車両等との関係について規定したものである。
「交通整理の行われていない交差点」とは、信号機の表示する信号による交通整理も警察官等の手信号による交通整理も行われていない交差点のことであり、「交差点内において」とは、交差点の中はもちろん、交差点に入ろうとするときも含む。このような交差点において異なった方向の道路から同時に又はそれに近い状態で車両等が通行した場合、交差点内で危険が生じたり、交通の円滑が阻害されたりするおそれがあるので、この規定が設けられている。
第1項は、優先道路以外の道路にあって、おおむね同じような幅員の道路が交わる交差点における車両等の通行順位を規定したものである。
第1号は、車両は路面電車及び左方から進行してくる他の車両の進行妨害をしてはならないことを規定している。
第2号は、路面電車は左方から進行してくる他の路面電車の進行妨害をしてはならないことを規定しており、すなわち車両と路面電車の間では、進行している方向に関係なく路面電車が優先して進行することとなり、車両相互間及び路面電車相互間においては、交差道路を左方から進行してくるものが優先して進行することとなる。
第2項は、優先道路と非優先道路が交わる交差点又は広い道路と狭い道路が交わる交差点における通行順位を規定したものである。すなわち、非優先道路又は狭い道路にある車両等は、優先道路又は明らかに広い道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならないこととしたものである。
「その通行している道路の 幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるとき」とは、交差する道路に幅員の差があることが一見して何人にも明らかである場合のことである。
なお、「その通行している道路が優先道路である場合を除き」とは、優先道路と優先道路が交差する場合及び明らかに広い道路と交わる狭い道路が優先道路」となっている場合のことであり、その優先道路を通行している車両等にはこの項の規定は適用しないという趣旨である。
このような場合、第1項の規定にいう「次項の規定が適用される場合」には当たらないので、同項の「左方車両等への進行妨害の禁止」義務が適用されることとなる。
第3項は、優先道路以外の道路から、これと交わる優先道路又は明らかに広い道路との交差点に進入しようとする場合に徐行すべき義務を規定したものである。この規定は、交差道路を既に通行している車両等の有無に関係なく、そのような交差点に「入ろうとする場合」の義務について述べたものであり、続いて交差点に入る場合においては、第1項又は第2項の規定が適用されることとなる。
第4項は、交通整理が行われていると否とにかかわらず、すべての交差点における車両等の義務にっいて規定したものである。
交差点及びその付近において交通事故が多発している実情にかんがみ、交差点に入ろうとし、及びその交差点内を通行する場合、車両等が特に注意すべき対象とその通行速度、通行方法についての義務を明示している。

(交差点における他の車両等との関係等)
第36条 車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。
本条は、交差点において右折しようとする車両等は、交差点に入った時点の前後を問わず、その交差点において直進し、又は左折しようとする車両等の進行妨害をしてはならないことを規定したものである。

(4)車両等の通行方法 U
キ 横断歩道等における歩行者等の優先
第38条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。
3 (省略)
第1項は、横断歩道等を通行する歩行者等を保護するための規定である。
「その進路の前方を横断しようとする歩行者等」とは、動作その他から見て、その者が道路を横断しようとする意思があることが外見的に明らかであり、車両等がそのまま進行するとその歩行者等の横断を妨げるような場合をいう。
第2項は、横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通る歩行者を認識していない場合であっても、必ずその車両等の前方に出る前に一時停止しなければならない義務を課したものである。
信号機で交通整理が行われている交差点に接近して設けられている横断歩道の場合、車両等が「青色」の信号によって左折又は右折するときは、歩行者も多くの場合「青色」の信号で横断を開始しているので、このような場合の横断歩道も本項の「横断歩道」の対象となる。
  
ク 横断歩道のない交差点における歩行者の優先
第38条の2 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
本条は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において道路を横断中の歩行者の優先(保護)について規定したものである。
「交差点の直近」とは、「交差点の付近」よりも近い距離にあることであり、おおむね2〜3メートルないし10メートル以内をいうものと解される。

ケ 緊急自動車の優先
第40条 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となっている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない。
2 前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。
本条第1項は、交差点又はその付近における緊急自動車の通行の優先について規定したものである。
緊急自動車が通行する場合、最も交通の危険が生じやすいのは、交差点を通行するときである。したがって、緊急自動車が交差点を通行する場合、一時的にその交差点の通行を全く空白状態におくことが望ましい。
そこで、緊急自動車が交差点又はその付近を通行する場合は、他の路面電車や車両(緊急自動車を除く。)は、すべて交差点を避けて一時停止し、緊急自動車だけ通行させることとしたのである。
「交差点を避け」というのは、交差点に入っているときは速やかに交差点の外に出ることであり、また、交差点の手前ならば入らないで停止するなどの行動をとることである。「一時停止」していなければならないのは、緊急自動車が交差点を通過し終るか、又は自動車の側方を通過し終るまでである。
「交差点又はその附近」の「その附近」とは、一般的には、他の車両等がそのまま進行すれば、緊急自動車と同時にその交差点に入ることとなるような範囲の場所をいうとされており、おおむね交差点から30メートル程度の距離と解するのが妥当である。
第2項は、交差点又はその付近以外の場所における緊急自動車の通行の優先について規定したものである。このような場所において緊急自動車が接近してきたときは、他の車両は道路の左側(一方通行となっている道路において、その左側によることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあっては、道路の右側)に寄ってこれに進路を譲らなければならない。   この場合は、交差点又はその付近における場合と異なり一時停止する必要はない。

消防用車両の優先等
第41条の2 交差点又はその付近において、消防用車両(消防用自動車以外の消防の用に供する車両で、消防用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう。以下この条において同じ。)が接近してきたときは、車両等(車両にあつては、緊急自動車及び消防用車両を除く。)は、交差点を避けて一時停止しなければならない。
2 前項以外の場所において、消防用車両が接近してきたときは、車両(緊急自動車及び消防用車両を除く。)は、当該消防用車両の通行を妨げてはならない。
3 第39条の規定は、消防用車両について準用する。
4 (以下省略)
本条第1項は、交差点又はその付近における消防用車両の通行の優先について規定したものであり、第2項は、交差点又はその付近以外の場所における消防用車両の通行の優先について規定したものである。また、第3項は、消防用車両の通行区分及び通行方法について緊急自動車に準じた特例を規定したものである。なお、「交差点又はその付近」とは、交差点からおおむね30メートル程度の場所をいう。
消防用車両は、消防の用に供する車両で、消防用自動車以外のものをいい、緊急自動車ではない。また、消防用車両を消防用務のために運転するときは、サイレン又は鐘を鳴らし、かつ、夜間及び夜間以外の時間でも視界不良の場所を通行するときは、内閣府令で定める赤色の灯火をつけなければならない。(道路交通法施行令第14条の4)

コ 指定場所における一時停止
第43条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第36条第2項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
本条は、交通整理が行われていない交差点又はその手前の直近の指定場所における車両等の一時停止義務及び進行妨害の禁止について規定したものである。車両等は、「指定された場所」においては、具体的な危険の有無にかかわらず、必ず一時停止しなければならない。
一時停止の位置は、「停止線の直前」が原則であるが、非舖装道路などで停止線が設けられていない場合は、「交差点の直前」である。
サ 停車及び駐車を禁止する場所
第44条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するときは、この限りでない。
1.交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
2.交差点の側端又は道路のまがりかどから5メートル以内の部分
3.横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に5メートル以内の部分
4.安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に10メートル以内の部分
5.乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から10メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
6.踏切の前後の側端からそれぞれ前後に10メートル以内の部分
各号の意味する場所を図で例示すると、次のとおりである。
@駐停車禁止標識や標示のある場所
Aトンネル
B交差点とその側端から5m以内の部分
C道路のまがり角から5m以内の部分
D横断歩道、自転車横断帯とその側端から前後に5m以内の部分
E安全地帯の左側とその前後10m以内の部分
Fバス、路面電車の停留所の標識板(標示柱)から10m以内の部分
G踏切とその側端から前後10m以内の部分
H軌道敷内
※ その他坂の頂上付近や勾配の急な坂道も駐停車禁止場所。

シ 駐車を禁止する場所
(駐車を禁止する場所)
第45条 車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。 ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
一 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から3メートル以内の部分
二 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から5メートル以内の部分
三 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から5メートル以内の部分
四 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から5メートル以内の部分
五 火災報知機から1メートル以内の部分
2 車両は、第47条第2項又は第3項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に3.5メートル(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない。ただし、貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき、又は傷病者の救護のためやむを得ないときは、この限りでない。
3 公安委員会が交通がひんぱんでないと認めて指定した区域においては、前項本文の規定は、適用しない。
第1項は、一般に道路における危険や交通の安全と円滑を害するなどの場所について、車両の駐車を禁止することを規定したものである。
第1号の施設又は場所とは、いわゆるバスターミナル、トラックターミナル、路外駐車場、自動車修理工場等である。
第2号の「工事区域」とは、多くの場合、道路工事の現場において、道路交通法第77条の規定による道路使用又は道路法第32条の規定による道路占用が許可されている部分をいう。通常、柵や立札等で表示されるが、その表示がない場合でも現に道路工事中の区域であることが客観的に判断できる場合も含まれる。
なお、道路工事における工事用材料や土砂等の積卸しのため、自動車等が駐車する場合も含めてその道路工事における工事区域とみなされる。
第2項は、道路の幅員と車両の幅との相互関係により、交通の円滑が阻害されるおそれがあるとして、駐車が禁止される場所を規定したものである。
「第47条第2項又は第3項の規定により駐車する場合」とは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないように駐車し、又は路側帯に入り、かつ、他の交通の妨害にならないように駐車した場合のことである。
駐車しようとする場合は、原則として、その車両の右側の道路上に3.5 メートル以上の余地が必要とされるが、特例が認められている。
その1は、荷物の積卸しを行う場合で運転者がその車両を離れないと き、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき」である。
その2は、「傷病者の救護のためやむを得ないとき」である。
  
ス 道路上における長時間駐車の禁止
第11条 何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
2 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 自動車が道路上の同一の場所に引き続き2時間以上駐車することとなるような行為
二 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
三 (省略)
本条は、前述のサ、シの禁止にあてはまらない場合であっても、道路上において長時間駐車する行為を禁止するものである。

(5)道路における禁止行為
第76条 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
 1.道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
 2.道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
 3.交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
 4.石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
 5.前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
 6.道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
 7.前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為。
本条第1項は、信号機、道路標識若しくは道路標示又はこれらに類似するものをみだりに設置することを禁止する規定である。信号機、道路標識及び道路標示は、都道府県公安委員会又は特定の道路管理者だけにその設置の権限が認められているので、これらの者以外の者が設置することはこの規定によって「みだりに設置する」ことになる。
「みだりに」とは、「正当な権限又は正当な理由なく」ということである。
第2項は、信号機や道路標識又は道路標示が本来、果たすべき効用を妨げるような工作物や物件の設置を禁止する規定であり、信号機の近辺に信号と同色のネオンサインを設けて点滅させるとか、道路標識の直近にその道路標識の表示や文字を見えにくくしたり、又は見誤らせたりするような広告等を設けることなどである。
第3項は、道路上における物件放置を禁止する規定であり、「交通の妨害となるような方法」とは、木材等を道路の中央に置いたり、又は道路の側端であっても、これと直角若しくはそれに近い角度で置くようなことである。また、この規定における「みだりに」とは、「正当な理由なく」という意味であるので、道路に物件を置くことすべてが本項によって禁止されているわけではなく、当該行為に係る場所を所管する警察署長の許可を受けた場合等は「正当な理由」となる。(道路交通法第77条第1項)